ゆふいん文化・記録映画祭から福岡へ!
熱い浜松からいったん東京に戻って、さて、英語の作業! どういう言葉が適切なのか、頭をひねりながらシノプシスを書き、英語字幕もなんとかギリギリで間に合わせてもらって、とある国際映画祭に応募しました。身の程知らずは重々承知ですが、クラウドファンディングのストレッチゴールとして約束したこと。英語字幕はもう少し練ってから完成させ、インターナショナル・エディションを仕上げていく予定です。
さて、7月の後半戦は九州! 7月22~24日に開催された「ゆふいん文化・記録映画祭」に行ってきました。
2020年は開催が叶わず、今年第24回を迎えた同映画祭はこんな想いで行われています。
今年のプログラムはこちら。
せっかくなので、できるだけ他の映画も観たいと早めにゆふいんに到着。『つつんで、ひらいて』(広瀬奈々子監督)、『明日をへぐる』(今井友樹監督)の上映とトークも鑑賞させていただきました。
『つつんで、ひらいて』は不世出の装丁家、菊地信義さんを捉えたドキュメンタリー。そう、本ってこういうもの。手のひらに載せたとき、ページをめくったときに込み上げてくる嬉しさと興奮。表紙の文字、細部のデザインに宿る息遣い、指先から伝わるものに徹底的にこだわった装丁家が一生をかけて追求したものを、丹念に掬い取った力作でした。
『明日をへぐる』は、和紙をつくる原料「こうぞ」の栽培・繊維にする行程に古くから従事してきた村の人々が伝承してきた手業と「結」に迫る貴重な記録。どちらも時代の波にさらわれてしまう前に、遺しておかなければならない文化、営み、人の想いを、執念とともにフィルムに刻み込んだ貴重な作品。観ることができてよかったとしみじみ思いました。
翌日は「由布院のむかしを巡る」体験ツアーに参加。矢野さん、秘書の岩田さんも間に合って、一緒にまちを巡りました。
矢野さんと歩くと、水と緑、風が豊かな由布院にも、滞りができているのがはっきり感じられます。いつも氾濫するという水路の合流地点はコンクリートで固められ、植物も水の流れも息苦しそうでした。
名物の鶏鍋定食をいただき、ずっと観たかった『教育と愛国』を観て、寺脇研さんが進行役を務められたシンポジウムも聴き、それから「杜人」上映と矢野さんとのトーク。
この時の矢野さんのお話は後日改めて掲載しますが、最後のひと言は人間のつくった勝手なルールへの疑念でした。
「土と石と木。自然界はその3つで成り立っている。でも、土木の現場では、土と石しか組み込んではいけないことになっていて、木が排除されている。無機物と無機物をつなぐのは有機物。植物を排除すると自然界のバランスが狂うんです」
会場からは「森林を伐採して進むメガソーラーについてどう思うか」などいくつも質問が飛び出して、この映画祭ならではの気迫を感じました。
奇しくもこの日は矢野さんのお誕生日。
「66歳!? 見えないですね!」と驚きながら、皆さん歌と拍手でお祝いしてくださいました。
大企業の後援があるわけではなく、すべて実行委の皆さんの想いと手で賄われている映画祭。それは、浜松同様、運動の原点を見せつけてくれるものでした。
さて、怒濤の7月の最後を締めくくったのは、矢野さん、そして音楽の山口洋さんの故郷でもある福岡県。
kino cinema天神は4月15日封切りの前に「上映します!」と連絡をくださった映画館です。
出来たばかりのお洒落なビルの3階、3スクリーンの劇場で、これから上映される映画のラインナップにグッと来ました。とくに『掘る女』、絶対どこかで観たいです。
福岡は大地の再生九州支部のメンバーをはじめ、たくさんの方がチラシを撒いてくださって、舞台挨拶に伺った30日、31日は両日満席!
九州の“掘る女”No.1、No.2(?)とのアフタートークは、とても充実した時間になりました。
生ビールと揚げ物は絶対禁止!を貫いた7月は、たくさんの激励とエール、美しい風景と人の脈が織りなすタペストリーに何度も感動しながら、すべての行程を終えることができました。数十年ぶりに再会した同級生、数年ぶりの大地の再生メンバー、初めて逢ったのにすでに旧友に思える同志の皆さま、映画愛に溢れた劇場の皆さま、本当にお世話になりました!!
2022.8.4 前田せつ子
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