出演者
矢野智徳
1956年福岡県北九州市生まれ。造園家。環境再生医。父親の矢野徳助氏が私財を投じて始めた花木植物園「四季の丘」で10人兄弟とともに植物の世話をして育つ。東京都立大学で理学部地理学科・自然地理を専攻。在学中に1年休学をして日本一周を敢行。各地の自然環境を見聞し、1984年、矢野園芸を始める。1995年の阪神淡路大震災によって被害を受けた庭園の樹勢回復作業を行う中で、環境改善施工の新たな手法に取り組み始める。1999年、元日本地理学会会長中村和郎教授らと共に、環境NPO 杜の会を設立。2017~2020年、一般社団法人「大地の再生 結の杜づくり」顧問。足元の住環境から奥山の自然環境の改善までを、作業を通して学ぶ「大地の再生講座」を各地で開催しながら、現代土木建築工法の裏に潜む環境問題に言及、その改善予防を提案し続けている。
玄侑宗久
臨済宗妙心寺派慧日山福聚寺住職、作家。慶應義塾大学在学中から小説を書き始める。2001年「中陰の花」で第125回芥川賞受賞。2008年2月より福聚寺第35世住職。2011年3月、東日本大震災を福島第一原発から45kmの三春町で体験、4月には政府の復興構想会議委員に選出される。禅や仏教にまつわるエッセイのほか、鈴木秀子さん、釈徹宗さん、養老孟司さん、五木寛之さんなど、各界の人々との対談集も好評である。境内にある樹齢450年の福聚寺紅枝垂桜は、初の天然記念物「三春滝桜」の最初の子孫木と思われ、福島県田村郡三春町を代表する桜になっている。2015年本堂と庫裡の改修に伴い、境内全体の改善工事を矢野氏に依頼。(写真:藤田修平)
石田智子
慧日山福聚寺寺庭。ファイバーアーティスト。京都精華大学美術学部染織科を卒業後、1991年宗久さんと結婚。それまでは布を素材にした作品を制作していたが、禅寺の生活の中で参拝者のお供物の包装紙に出逢い、紙縒りをつくることを着想。紙縒りのインスタレーションでベルギーやポーランドのビエンナーレで大賞を受賞、世界的なアーティストとして活躍する。2020年春には郡山市美術館の企画で15万本もの紙縒りを使った個展が開催された。
堀信行
地理学者、理学博士、東京都立大学名誉教授。専門は環境地理学。広島大学教育学部卒業後、東京都立大学理学部地理学科助手を経て、1992年東京都立大学理学部助教授となり、その後教授を経て、首都大学東京大学院都市環境科学研究科教授。学生時代からフィールドワークを積極的に行い、南米アマゾンやアフリカ大陸を探検する。世界的なサンゴ礁学者として知られるほか、人間と自然の関係論、風土論、景観論などを精力的に探求し続けている。
全国の「大地の再生講座」参加者、主催者、スタッフの皆さん
Staff
前田せつ子 監督・撮影・編集
山口県生まれ。東京外国語大学卒業。1984年(株)ソニー・ミュージックエンタテインメント入社。音楽雑誌、映画雑誌の編集を手がけたのち、1999年よりフリーランス。雑誌『Lingkaran』ほか環境・料理系の記事の編集/執筆に携わる。手がけた書籍に『辰巳芳子の展開料理』(ソニー・マガジンズ)、辰巳芳子『いのちと味覚』(NHK出版)、『フジコ・ヘミング 14歳の夏休み絵日記』(暮しの手帖社)等。2011年5月~2015年4月、国立市議会議員。在任期間中、国立市の街路樹伐採計画が浮上したのをきっかけに、矢野智徳氏と出会う。2018年3月~アップリンク主催ムービー制作ワークショップを受講。同年5月、「杜人 環境再生医・矢野智徳の挑戦」撮影開始。本作が初の長編ドキュメンタリーとなる。
纐纈あや 制作スーパーバイザー
東京都生まれ。自由学園卒業。2001年ポレポレタイムス社に入社。本橋成一監督の「アレクセイと泉」(2002年)、「ナミイと唄えば」(2006年)の映画製作に携わる。2010年、上関原子力発電所に反対し続ける島民の暮らしを映し撮った映画「祝の島」を初監督。シチリア環境映画祭で最優秀賞受賞。大阪貝塚市の北出精肉店の家族の暮らしを描いた2作目「ある精肉店のはなし」(2013年)は釜山国際映画祭、山形国際映画祭招待作品。ニッポンコネクション(フランクフルト)ニッポンヴィジョンズ観客賞、第5回辻静雄食文化賞。平成26年度文化庁映画賞文化記録映画部門大賞。
山口洋 音楽
福岡県生まれ。1979年HEATWAVE結成。バンドのフロント・マンとしてギター、ヴォーカルを担当し、ほぼ全曲の作詞・作曲を手がける。1990年アルバム『柱』でメジャー・デビュー。以降、バンド名義でアルバム14枚、ミニ・アルバム3枚、ベスト盤1タイトル、セルフカヴァー・アルバム1タイトル等を発表。1995年発表のアルバム『1995』には阪神・淡路大震災後につくられた「満月の夕」が収録され、多くのミュージシャン、幅広い世代に現在も歌い継がれている。2011年東日本大震災後は仲井戸“CHABO”麗市らと福島県相馬市を応援するプロジェクトを始め、現在も継続中。ソロ名義作品に『機巧奇傳ヒヲウ戦記 オリジナルサウンドトラック』(2000)、『日本のあちこちにYOUR SONGSを届けにいく 2018』(2019)等。
水城ゆう 音楽
福井県生まれ。小説家、ピアニスト。NPO法人現代朗読協会を設立、代表を務めた。トランジション世田谷茶沢会、日本在来種ミツバチの会、NVCジャパン等多方面にわたる旺盛な表現活動を通して、持続可能な社会、非暴力によるコミュニケーションの実現に力を注いだ。2019年11月『事象の地平線 末期ガンをサーフする』を発表。2020年6月12日から、ほぼ毎日「mizuki yuu essay」と名づけた即興曲をYouTubeで発表。本作ではその中から2曲を起用。2020年8月15日逝去。享年63。
G.Yoko エンディング・テーマ「わたしをつつむもの」
沖縄県石垣島生まれ。幼少期に俳人である父と海のそばの家で暮らし、詩を書き始める。高校時代に音楽に目覚め、曲を作り始める。2011年、沖縄のライヴハウスで山口洋に出会い、2021年4月、彼が全面プロデュースしたアルバム『Survive』でデビュー。
光野トミ ナレーション
佐賀県生まれ。児童文学者の松岡享子さんの呼びかけで1967年に始まった「くにたちお話の会」の発足時からのメンバー。子どもと本をつなぐストーリーテリングの日本における黎明期を支え、現在も学校や図書館、公共の場でお話を語り続けている。国立在住。
林揚羽 ナレーション
埼玉県生まれ。俳優・宣伝・デザイン・制作として創作活動に関わる。大学時代に一橋大学の演劇サークル「劇団コギト」に所属。卒業後は会社勤めをしながら劇団「しあわせ学級崩壊」に所属し、他の劇団の舞台にも出演している。2020年からは朗読作品や音声作品の制作を開始。
題字 奈良裕之
ドローン撮影 石田伸二(i Daps)
アニメーション制作 清水有紗/糸井みさ
整音 石川雄三
カラー調整 村石誠
制作 リンカラン フィルムズ
制作協力 「杜人」プロジェクト/「杜人」を応援する会
配給
宣伝 リンカラン フィルムズ
協力 一般社団法人 大地の再生 結の杜づくり/合同会社 杜の学校