矢野さんの生まれ故郷を経て「杜人」の旅は南フランスへ!
随分また間が空いてしまいました。この間の「杜人」の旅を一気に振り返りたいと思います。
10月13〜15日、矢野さんが生まれ育った植物園「四季の丘」、現在は北九州市立白野江植物公園で、東田シネマさんと園の共催の上映会が開かれました。こんな日が来るなんて、撮影中は思ってもみなかった。そもそも映画として完成するかどうかも全くわからなかったので。
この植物園が北九州市立になる過程にはいろいろあったようで、矢野さんにとってはさまざまな想いが込み上げてくる場所でもあったと思います。物心ついた時から植物園で働くという環境も、想像もできない苦労がたくさんあったことでしょう。同時に、三つの海流がぶつかり渦を巻くこの土地のエネルギーさながら、眩しいくらいの喜びに満ちた日々でもあったことが、矢野さんの言葉、表情の端々から溢れてくる時間でした。
この日は夕方から中学・高校時代の同級生の方が主催、老松公園の緑を守る会さん協力の矢野さんの講演会が開かれることになっており、講演会の前に老松公園を見にいくことに。
園内に図書館やホールを併設した歴史ある公園ですが、木が育って高木になったことで住民から「鬱蒼として暗い」「防犯上問題がある」「落ち葉の掃除が大変」という声もあり、いま半分以上の木を伐採して整備する計画が浮上しているそうで、そのことを疑問を抱く市民グループから矢野さんに「見てほしい」と要請があったのでした。
驚いたのは公園にある木々の多様さ。日本古来の木々からシュロ、モクマオウなど熱帯・亜熱帯に自生する木々が植物園のように迎えてくれました。
「ここは九州の玄関口。多種多様な樹木がここの大地を含む環境を守っているんです。伐採してしまうなんて愚かなこと。これを活かす手立てを考えるべき」と矢野さん。この時の記事はこちらに。
その後の講演会は、昭和6年に建てられた料亭で門司港の繁栄を物語る三宜楼で。
一度は解体されそうになった建物を市民が寄付を集めて支え、市が耐震工事等の費用を出して、いまは観光スポットになっている場所で、矢野さんは老松公園の樹木の大切さ、大地の呼吸と脈の意味、植物の環境機能、私たちがすべきことを2時間にわたって語りました。その間、80名もの方がずっと集中力を途切れさせずに聴いていらしたのが印象的でした。
15日に大牟田のお寺(法明寺)の見立てを挟んで、16日には植物公園の隣地、矢野家の敷地の環境改善作業。その前に「めかりを観に行きませんか?」と矢野さん。
下関を対岸に観る関門海峡を前にしたこの場所は、海流がぶつかって渦を巻き、わかめがよく採れることからこの名が付いたそう。「和布刈神社(めかり神社)」に立ち寄って、その「渦」を観ました。
後から知ったのですが、ここは潮の満ち引きを司り、新たな道へと導く「瀬織津姫(せおりつひめ)」を祀る神社。大急ぎでお参りしてよかった、と思いました。
矢野家の敷地で行われる講座にはすでに受講者の方が集まられていて、半分以上は初参加の方。「杜人」にも入れた2020年3月にこの地を訪れたときの矢野さんの言葉、「いつか緑に還れる日も来る」が現実になる日が来るかもしれないと思えた貴重な日でした。
さて、時は前後しますが、この間に開かれた上映会をご報告します。
さて、11月11日には、全国47都道府県の中で唯一上映がなかった茨城に「点穴」をあけるように1年がかりで上映会を企画・実施してくださった梅津順次さんのファイナルに行ってきます。
詳細はfbページをご参照ください。申し込みフォームはこちら。
その後は、南フランスへ行ってきます。
初めての海外遠征。南仏は夏は40℃近い日が続き、小さな滝は涸れてしまったそう。今は東京よりも気温が低いそうで、基本的には乾燥した気候で、日本とはずいぶん違うはず。それでもきっと、届くものはあると信じています。
フランスでの上映が実現したのは、ひとえに島内アゾラン咲子さん、在仏十数年の日本人女性の意志と情熱と勇気のおかげ。
自ら名乗り出て、フランス語字幕まで付けてくださって、さらにはさまざま面倒な手続きを乗り越えてフランス国内の配給権まで獲得してくださいました。
「杜人」がつないでくれるミラクルなLingkaran。その先の風景を観に、行ってきます。
2023.11.8 前田せつ子
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