旧暦元旦! 新たな挑戦の始まり

 本日1月22日、旧暦の新年が明けました。おめでとうございます。立春に一番近い新月を元日とした旧暦は、人間よりも月、太陽、宇宙の動きに従う意味で腑に落ちるところがあります。

 さて、お知らせしたいことがいくつもあります。

 まずは、待望の「大地の再生」の視点と技術を収めた本が1月18日に出版されました。矢野智徳さん、大内正伸さん共著による「『大地の再生』実践マニュアル〜空気と水の浸透循環を回復する」(農文協)です。

 私が矢野さんを追いかけ始めるひと月前、大内さんは矢野さんを追って屋久島の講座に参加。そこでこれまでご自身に欠けていた「空気の視点」に気づかれたと言います。大内さんとは、福聚寺や西日本豪雨被災地など数多くの現場で会い、半ば「同志」のように互いを鼓舞し合い、エールを送り合ってきました。

 矢野さんの本を作るのは、映画を作るよりも大変だったことでしょう。というのも、矢野さんはどんどん進化し続けていて、文章は修正が効くからです。
 待ち望む人が多いなか、紆余曲折の長い年月を経て、この本が産声をあげたことを心から嬉しく思います。
 なんとこの本、予約が殺到し、発売前から重版決定。1月22日現在、「環境・エネルギー部門」のベストセラー第1位に。本が売れない時代と言われますが、この本は長く生き残っていく本だと確信しています。

2/11(土)『杜人』上映会&出版記念講演会があります。講師は矢野智徳さんと大内正伸さん!

 講座に参加されたことのない方には若干理解が難しいところがあるかもしれませんが、最初から読了する本では決してなく、手元に置いて、パラパラめくるもよし、気になったところから読むもよし。繰り返し読むことでそこに書かれている視点、技術が馴染んでいくことと思います。その時こそ実践の時!
 ノコ鎌と移植ゴテという、両方買っても千円に満たない道具ですぐにできるのが何より「大地の再生」の強み。庭の隅やベランダの植木鉢から始めていただければ、植物の変化、土の変化が実感できるはずです。

1月9日、全国のスタッフが結集した上野原「杜の学校」新年会で行われた水切り作業。表層5cmの改善がすべての要
結作業で風の草刈り。ノコ鎌と移植ゴテは万能

 ここで、嬉しいニュースを。昨年4月15日の封切り館であるアップリンク吉祥寺、2022年の観客動員ランキングで、なんと第10位になりました。

  系列のアップリンク京都でも、同じく第10位にランクイン。

 こんなにスーパーインディペンデントな映画が、こんなにたくさんのお客様に観ていただけたのは、口コミという最古かつ最強のツールで応援してくださった皆さまのおかげです。ほんとうに、ありがとうございます!

 この間、監督トークで伺ったのは、東京・国分寺カフェスロー、そして埼玉・本庄シネマクラブ。
 1/14(土)カフェスローは『シチリアの奇跡〜マフィアからエシカルへ』を上梓されたばかりの作家の島村菜津さんと登壇、地域の方を中心に満席をいただき、熱い会になりました。

エシカルなカフェの草分け的存在、カフェスロー

島村さんは矢野さんとの出会いに加え、マフィアから没収した土地をオーガニックな畑に変えているシチリアの現在について話してくださいました

 

 1/15(日)本庄シネマクラブの上映会では、大地の再生関東甲信越支部の押田大助さんをはじめ「本気プロジェクト」の主催で、地元で活動する方々とのパネル・ディスカッション。
 本庄南小学校の岡村和美校長、地元・竹並建設会社の竹並達也社長、イベント等も積極的に開催するソルフロース(園芸店)の大澤さんらが、『杜人』の感想とともに、これから本庄市でやっていきたいことを熱く語ってくださいました。

写真左から竹並社長、奥に主催の「本気プロジェクト」の山内和彦さん(上越電気工業)、岡村校長先生、奥に司会進行を務めてくださった「本気プロジェクト」の関口佐知子さん(暮しのデザイン 季の香)、右に押田さん(中央園芸)

 岡村校長はもと美術の先生。「美術の力で学校を創る 子どもたちが輝く」方針を掲げ、「美術は人権教育!」を信念に、果敢に生き生きとした学校づくりを進める方で、なんと南小は現在不登校児童ゼロなのだとか。この日は、子どもたちが自分で選んだアースカラーの色画用紙に描いた「森」の絵が飾られ、どの絵も夢のような物語のような生き生きとした世界へと扉を開いてくれました。

 昨秋行ったクラファンのエンドレス・ゴールとして掲げた『杜人〜子どもエディション』のことを話すと、「全学年の児童に観せます!」と宣言してくださった岡村校長先生。必ず形にすべく、頑張ります!と約束しました。

 竹並さんはちょっと前まで本庄西小学校のPTA会長務めていた方で、学校のシンボルツリーの欅が枯れてきて伐採されることになったのを知って、校長先生に直談判されたそうです。話し合いの末、伐採は延期に。春に新芽が吹いて来るかどうか、様子をみることになったとか。 
 それを聞いた押田さん、仕事仲間の濱田さんと共に会が終了するのを待って欅の元に直行。とにかく、まずは点穴をあけられたそうです。

 さらに子どもたちと一緒にモグラ穴をあけることができたら、地下水脈が動き出して樹勢回復もあり得るでしょう。その時、何より自信を取り戻すのは子どもたちに違いありません。

 最後に、同じくクラファンのストレッチ・ゴール、『杜人〜インターナショナル・エディション(英語字幕版)』の制作についてお伝えします。字幕付けの作業は終わり、現在、公開の仕方とタイミングを検討しているところです。こちらが予告編になります。

 まだまだお伝えしたいことはたくさん。1/14にNPO法人グリーンワークスの会員研修として行われた中村桂子先生(生命誌研究者)のお庭の環境改善作業、また、播州織を現代に再生する西脇市のtamaki niimeで始まった「動物たちの家」プロジェクトなど、人工構造物を敵とせず、共存を図る新たな施工法への挑戦については、また次回。

 

 古きもの、新しきもの、無機物、有機物、植物、動物、人間、大地、空気と水、光と熱の、新たな循環と共生を目指して。『杜人』も進化していきます。

 2023年も、どうぞよろしくお願いいたします。

古いコンクリートの浄化槽が動物たちの家に!?
羊たちも
烏骨鶏も
みんなで住める家が
ほんとうに出来るのだろうか?
挑戦は続きます

   2022.1.22 前田せつ子