佐竹敦子監督、纐纈あや監督とトーク!
8月15日。終戦の日。東北地方各地では、養鶏場の鶏たちが1万5000羽豪雨で流されたり、果樹や水田、畑に土砂が流れ込んだりしています。手をかけた作物、生きものがそんな目に遭うのは、どんなに辛いことでしょう。お金には換算できない痛みだと思います……。どうか、足元を見つめて、新たな気持ちで一日を始められることを祈ります。
『杜人』封切りから4ヵ月。この間、さまざまな劇場を訪ね、たくさんの方々との出逢いがありました。人と人との繋がりも大切な「脈」。各劇場にその劇場ならではの歴史と個性があるように、そこに足を運んでくださる方々にもその地域らしさがあります。そこで舞台挨拶(アフタートーク)をさせていただき、サイン会の時に直接話ができるのは、何にも代え難い貴重な機会です。
そんな中、尊敬するドキュメンタリーの監督お二人と話をさせていただく機会を得ました。
『マイクロプラスチック・ストーリー~ぼくらが作る2050年』(2019年)の佐竹敦子監督と、『祝の島』『ある精肉店のはなし』の纐纈あや監督。お二人と話せたことは、これからの『杜人』と私自身を考えるうえで、大きな示唆と展望を与えてくれるものでした。
詳しい説明は公式サイトの予告編や紹介文を観ていただくとして、『マイクロプラスチック~』を観てから、心底プラスチックを使うのはもうやめよう、と思いました。それくらい骨の髄まで沁み渡る、学びと確信、希望に満ちたドキュメンタリーです。
それでいて、押しつけがましさとは無縁。気がつくと子どもたちと一緒に「海の生きものたちが自分たちの出したゴミで苦しむなんて許せない!」と怒りが込み上げてきて、社会を違う方向にシフトしたい気持ちがムクムクと頭をもたげてくる。
「この映画に出てくる子どもたちの軸になっているのは“Justice”なんです。貧困や差別、社会的には弱い立場にある家庭の子が多い。その子たちのJusticeの軸が震えるんです」
佐竹さんの言葉は、「ベルサイユのばら」のクライマックスに震えた小学生の自分を貫き、いまも響き続けています。
子どもたちがNY市庁舎まで「プラスチック・フリー」のバナーを掲げて歩き、そこに市長が現れるシーンはもう革命そのもの! でも、その革命は、フランス革命とは違い、共感と民主主義に裏打ちされている。それを子どもたち自身が学び、調査し、考え、行動に移したことが何より尊く、胸を打つ。
まだご覧になっていない方は、是非観てください。
そして佐竹監督とのこの日のトークは、こちらで9月末まで観られます。
有料(当日のオンライン参加費と同額)ですが、会場を提供してくださった胡桃堂喫茶店を応援する意味でも、是非ご覧いただけると嬉しいです。
8/1佐竹監督とのトークは初対面、初トーク・イベントでしたが、8/6纐纈監督とのトークは、小金井での「杜人」自主上映会のアフタートークでした。
纐纈さんとの出逢いは2015年。前年の街路樹伐採問題で矢野さんに初めて逢い、その年の6月に国立で開かれたWSで「この人の自然を観る目、手法はみんなが知るべきものだ!」と確信した私は、友人の紹介で纐纈さんと初めてお逢いしたとき、いきなり「映画を撮ってほしい人がいるんですけど!」と話を切り出したのでした。でも、纐纈さんは固辞され、二度目もやはり固辞されて、2018年4月、ついに「私に撮れるでしょうか?」と纐纈さんに相談にいったのでした。
「想いは、技術に先行します。前田さんなら大丈夫。私にできることはなんでもします!」
纐纈さんのその言葉の源泉を、この日、私は知ることになりました。この日のトークは、実行委のおひとり、小金井市議の片山かおるさんがアップしてくださいました。
文字通り、纐纈さんがいらっしゃらなければ、陽の目を見ることはなかった映画『杜人』。改めて、人という動物の美点は、時空を超えて想いを繋ぎ、紡ぐことができることだと感じ入っています。
さて、猛暑もそろそろピークアウトしつつある8月後半。この暑さも、豪雨も、きっとひとりの意識の変化で、風穴をあけることができるはず。
8月下旬は宇都宮、宝塚、富山、逗子、そして熊本、日田(大分)で上映がスタートします。8/25には自然・有機農業で有名な埼玉県小川町で大きなイベントも。ここからの旅にも、是非おつき合いください。
2022.8.15 前田せつ子